がんちむの備考帳

身近なことを一生懸命考えると、どうでもいいことがどうでもよくなくなったり、どうでもよくないことがどうでもよくなったりします。

スターウォーズとコンドーム

全世界が待ちに待った大作「スターウォーズ フォースの覚醒」。SWファンの私としては続編の制作が発表されてからこの二年間、首をながーくして待っていた。

 

公開された翌日の土曜日、早速映画館に足を運んだ。事前にネット予約をしていたから問題なくチケットと席は確保できたけど、映画館のエントランスでまず目についたのは、子供たちの多さだった。休日ということもあってか、父兄の手をひっぱりながら、こっちこっちとチケット売り場へ殺到する。自動券売機の真上に設置されたモニターには、「12:00~ 妖怪ウォッチ満席」の赤い文字がでかでかと表示されていた。

 

少なからずショックだった。日本の子供たちにとっては、世界のSF超大作より、ジバニャンの方がずっと大事なのだ。だけど自分が子供だった頃もたぶんこんなんだったのだろうと思う。エピソードⅠが公開された当時、私はポケモンに夢中になっていたのだから。長蛇の列を眺めながら、私はもう自分が若くないことを実感した。ゲームボーイに夢中になっていた時代が懐かしい。

 

それはさておき、映画は最高だった。これぞスターウォーズ、これぞハリウッド!もう最初から最後まで興奮しっぱなしだった。

 

ミレニアム・ファルコン号が出てきたときは鳥肌もので、第一作の公開当時は生まれてもいない私はなぜか目頭が熱くなってしまった。どうやら私は、時代を感じさせるものに弱いらしい。その証拠に、尊敬するオビ・ワン兄さんが、この時代ではもうとっくにいなくなっていることを思い出してぽっかりと心に穴が開いたような喪失感も感じた。

 

しかし、捨てる神あればなんとやら。デイジー・リドリー演じる新主人公のレイがめっちゃ美人だったことで、私は一瞬にして彼女の虜になってしまった。これからの新シリーズ、私は彼女だけを見ていくことにしよう。

 

ライトセーバーでの戦闘シーンのとき、私はなぜか学生時代の友人を思い出していた。あれは大学に入学したての春だった。その友人は昼休みの人気が少ない講堂で、昼食をとりながらコンドームの種類について私に説明してくれた。最近のコンドームは本当におしゃれなものが多くて、中には蛍光塗料を塗ったものまであるらしい。

 

「暗闇で使うと、まるでライトセーバーみたいなんだぜ」

 

ライトセーバーが触れ合い、スパークするような音が劇場内に響いていたが、同時に私の脳裏では、彼の楽しそうな声が脳裏に蘇っていた。その彼が今、どこで何をしているのか知らないが、今も元気に夜のジェダイとして活躍してくれていれば幸いだと思った。

 

 満足感を抱いたままの帰り道、友人が運転する車の後部座席に私は座っていた。しかし高速道路に入ったとき、料金所を抜けたところでお巡りに車を止められた。

 

 青い制服を身にまとい、ヘルメットをかぶったそのお巡りは、人のよさそうな笑みを浮かべて言った。「後ろの方、シートベルトをしていらっしゃいますかね?」

 

僕はしていなかった。

 

運転席の友人は見逃してくれるように懇願した。「そこんとこをなんとか」とか、「もうすぐ更新なんです」とか、ありとあらゆる言葉を駆使して必死で食い下がっていた。

 

我々にフォースが使えれば、お巡りさんの心を操作して、見逃してもらうこともできたのだろう。しかし残念ながら、非常に残念ながら、我々はジェダイではなかった。

 

友人は罰金にこそならなかったものの、点数を引かれて次回の免許証更新ではゴールドではなくなるそうだ。罪悪感を感じた私は、その日の夕食をご馳走することを提案したのだが、友人はそんな必要はないと言い、私はちゃんとシートベルトを締め、結局安全運転で家に帰り着くことができた。

 

 

そして今、私はこの文章を書いているわけだが、私の心は晴れない。なんならかの形で、私のせいでゴールドを逃した埋め合わせをしたいと思っている。

 

私はパソコンでこの文章を書きながら、同時にネットショッピングのページも開いている。

 

検索欄には「コンドーム 光るやつ」。

 

私は彼にフォースを与えることはできないが、せめてライトセーバーだけでもプレゼントしたい。こうして調べてみると、いろんな色があって、見ているだけでも意外と楽しい。彼は何色がいいだろう。ちなみにルークのライトセーバーは青だ。でもやっぱり・・・、

 

ゴールドかな。