がんちむの備考帳

身近なことを一生懸命考えると、どうでもいいことがどうでもよくなくなったり、どうでもよくないことがどうでもよくなったりします。

宇宙旅行

先日、日本人宇宙飛行士の油井亀美也さんが、ロシアのソユーズロケットで宇宙へと飛び立った。


日本人宇宙飛行士に限った話ではないが、このような宇宙の話題を見聞きすると、いつも思うことがある。


宇宙旅行に行きたい。


私は子供の頃からガンダムなどのSF物が好きだったが、大人になった今でも、宇宙開発が進んだ未来を想像してわくわくする。


自分が生きている間に、気軽に宇宙に行けるような時代が来るだろうか。そんなことを考えると、いろんな想像が湧いてきて楽しくもなるが、その一方で果てしなく遠い未来のように感じて、やはり難しいだろうかと思ったりもする。


だが、今のおじいちゃん、おばあちゃん世代が子供の頃には、人類は宇宙にすら行っていなかった。


ガガーリンが1963年に、「地球は青かった」と発言してから数十年の間に、人類は月にも行ったし、現在では、宇宙に複数人が何か月も滞在してあらゆる実験を行なっている。


その進歩の速さを鑑みると、あながち宇宙旅行も夢物語ではないのかもしれない。


厳密には、民間の宇宙旅行はもう実現している。アメリカのヴァージン・ギャラクティックなる会社が提供している宇宙旅行は、約一時間半のフライトになっており、宇宙に行くのに約45分、帰還するのに約45分、そして宇宙空間にいられるのはたったの4分だけというものだ。


このツアー、3日間の事前訓練も含めて、お値段が20万ドル(約2400万円)。


笑ってしまうような馬鹿みたいな金額だが、このツアーに喜んで財布を開くお金持ちはたくさんいるようで、日本人も含めて、世界中から数百人が申し込んだらしい。


私はというと、もちろんそんな大金は払えないが、仮に払えたとしても、そんなツアーには参加しないと思う。


私が行きたいのは、お金持ちのためではなく、大衆のための宇宙旅行である。新幹線や旅客機のように、少しお金はかかるけど、絶対に手がでないわけではない。そんな宇宙旅行である。


ホテル代込みで十万円くらいの予算で行けるような。ちょっとした海外旅行に行く感覚で宇宙にも行けたらいいと思う。


私は学生時代、観光を勉強していたのだが、ゼミでの発表テーマが「宇宙旅行」だったことがある。


それで資料を探すために大学内の図書館に行ったのだが、そこである本を見つけた。


それは宇宙エレベーターに関する本だった。


著者はトルコ人の工学者で、宇宙飛行士候補生にもなった人物なのだが、私はこの本を読んで、いたく興奮した。


ガンダムの世界もいずれは現実になるのだなと、目を爛々と輝かせて読んだ。


もちろん、これは主観であり、図書館にいた他人からすれば、若干瞳孔が開いた怪しい男に映っただろう。


何はともあれ、私は宇宙に行く方法としてのエレベーターという知識を仕入れたわけだが、いろいろ調べていくうちに、さらに胸躍る記事に辿り着いた。


それは、日本の建設会社である大林組が、2050年までに宇宙エレベーターを作るというものだった。


おお!これは!


2050年といえば、まだ私は60代なので、十分に生きている可能性がある。いよいよ人類もここまで来たか。私はそう思った。


そんな情報も織り交ぜつつ、発表もなんとか無事に終わり、私は改めて、宇宙エレベーターを知るきっかけになったその本の著者であるトルコ人について調べてみた。


ちゃんとWikipediaにもその名前は出てきた。


自称工学士とあった。


自称?


読んでみると、東大の大学院から博士号を取得した旨が書かれていたが、その後、不正な手段だったことが判明し、学位取り消し処分を受けたらしい。


そうだ、著者はペテン師だったのだ。


今j本の内容を思い返せば、やけに著者自身の栄光に満ちた人生も語られているなと思うが、読んでいるときはそんなことにも気づかずに、目を爛々と輝かせて読んだ私である。


というか、そんな人の本を大学の図書館に置いていいのか?


そんな不満を抱きながらも、自身の単純さにもあきれた経験である。


だが何はともあれ、大林組宇宙エレベーター計画はわりと本気らしいので、そんな時代のためにも、宇宙で頑張る現在の飛行士たちや科学者たちを応援したいと思う。