がんちむの備考帳

身近なことを一生懸命考えると、どうでもいいことがどうでもよくなくなったり、どうでもよくないことがどうでもよくなったりします。

向き不向き

以前買っておいた、C言語の入門書を早速読んでみた。



「はじめに」とあるページから読んでみるが、「人によって向き・不向きがある」なんていきなり書かれているものだから、私は少々臆することになった。



そこんとこをわかりやすく教えてくれるんじゃないのかい、と思いつつも、やはりそういうものなのだろう。誰でも理解できるものなら、ザッカ―バーグがもてはやされることもなかったのだから。




私みたいな人間からすれば、プログラム言語というのは一部の選ばれた者だけが進むことを許される聖域のように思えてしまう。



それが「向き・不向き」ということなのかもしれないが、幸いなことに、ここ日本では学問の自由が保証されている。



それに、わかりやすいかそうでないかは人それぞれの主観だし、もしどうしてもわからなかったら、その本をほっぽり出して、頭の上から毛布をかぶって寝てしまえばいい。



そんなわけで、私は未知の大海原へと漕ぎ出したのであるが、プログラムって、どこに何を記述すればいいのだ?そもそもコンパイラって何だ?



そんな初歩的な疑問からつまずいてしまう。



だが、千里の道も一歩からだ。私はわからないところでもとりあえずはしっかりと目を通しながら、
わかるところを少しずつ拾い集めていく感覚で読み進めていくことにした。



文字列を表示するには、printf()を使えばいいのだな。とか、\nと入れれば改行できるのだな。とか、そんな基本中の基本から学んでいく。



ほうほう、これは幸先いいスタートだぞ。



本を読みながら、気づけば鼻歌なんか口ずさんでいた。



ロマンスがありあま~る♬
ロマンスがありあま~るう~う~♪
少し贅沢をしすぎたみたいだあ~♫



確かにこんな調子でいけば、少し贅沢かもしれない。



しかし、そんなことを一瞬でも考えた私が馬鹿だった。



次のページをめくり、「変数」とやらが出てきた瞬間、私の贅沢は終わった。
その間、たったの6ページだった。



「変数」とは、値をいれるための箱のようなものらしいのだが、
intとかcharとかいう型の中に、整数だったり文字だったりを代入して使うとのことだ。



ちなみに、intは「イント」、charは「チャー」と読む。



そういえば中高生の頃は、数学の代入とかって苦手だったな。



そんなほろ苦い青春の記憶が蘇ってきたが、思い出に浸っていても仕方がないので、覚悟を決めて読み進める。



しかし、目を血眼にして読んでみても、苦手意識を持った私の頭脳はそれらを全く受け付けなかった。



チャーがあいつで、あいつがチャーで・・・
しまいには、こちらにお尻を向けて振り向いているたむけんの姿が目に浮かんだ。



もう諦めようかな。私はふとそう思ったが、とっさに頭を振って思い直す。



かの発明王エジソンも言っていたではないか。



天才とは、1%のひらめきと99%の努力である、と。



こんなにすぐに諦めていては、できることもできないままだ。



私は自分を奮い立たせ、よく理解できない記号の羅列に挑み続けた。



だが現実は甘くはない。



一つ一つ確認しながら読んでいっても、「制御文」とやらに入ったころには、私の脳内は既に雷鳴轟く魔界と化していた。



if文とかwhile文とかいろいろな制御文があるのはわかったが、



頭の中ではwhyとwhatだけがコウモリの群のように飛び交っていた。



私はその魔界を何とか切り抜けて最後のページまでたどり着いたが、手に入れたものはお宝でも、魔王に捉えられていたお姫様でもなく、充血した目とひどい肩こりだった。



手っ取り早く天才になりたい。



私はそう思った。